あけにーブログ 〜フランスで考えたあれこれ

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フランス人は何故ワクチンを接種したくないのか - 第2弾

 2021年の年明け、カステック首相は15億ユーロでおよそ2億回分のコロナワクチンを注文し、ワクチンキャペーンが始まった。しかし、隣国と比べて「全く進まない」「ロジが悪い」などと今度はその進み具合が批難された。パリ在住のギリシャ人の友人と「ワクチン接種したくないのに遅いと怒るってどう?」と思わず苦笑してしまった。「結局フランス人はノーと言いたいのだ」と二人で結論付けた。

 フランスでは劇場、映画館、美術館など全ての文化施設が閉鎖されている。これを打破したい俳優、音楽家など文化人が200名ほどワクチン支持キャンペーンに署名した。これしか仕事に戻る方法がないという必死のモチベーションだろう。それでも、巷ではワクチンに殺到するという感じではない。

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Les Echos (Lewis Joly/AP/SIPA)

  本稿第1弾では2020年年末のアンケートに触れたが、今年になって行われたOdoxaの新しいアンケートでも依然としてフランス人のワクチン不信は続いている。

Coronavirus : les Français toujours réticents à se faire vacciner (francetvinfo.fr)

 1月4日の公共ラジオフランスインフォによるとワクチンを打たない人は58%と先月より8%も増えているという。これには前述の【2.ワクチンを拒否することで政府へ懐疑的という政治的な意思表示】もあるようだ。

 アンケート結果から分かる特徴は35~49歳の32%の人がワクチンに賛成しているのに対し、65歳以上では58%と高い。女性は男性よりも予防接種を受けたくない人が多い。政治的に誰を支持するかでも違うようだ。マクロンの支持者の半数以上が「予防接種を受ける準備ができている」のに対し、元大統領候補で極左政党「屈しないフランス」の党首であるジャン・リュック・メランション氏や極右国民連合党首のマリーヌ・ルペン氏の支持者にはワクチンを拒否する人が多い。米国でトランプ支持者がマスク保持を頑なに拒否していたような感覚だろうか。

 ともあれ、路上インタビューなどを見ると「ワクチンの開発が異例に早すぎて大丈夫なのか不安」とか「副作用についてきちんと臨床検査は出来ているのか?」と対応が早すぎたのを怪しんでいる節がある。ワクチンに関してだけでなく、フランス人の言われたことを素直に信じない態度は、騙されないためにも日本人も見習わないといけないところもある。それでも、私はここまで早い対応で頑張ってくれた人々や製薬会社を讃えたい。そして、早くワクチンを受けたい。丁度、ソーシャルネットワーク上でフランス人の友人から送られてきたジョークが現況にあまりにも似ていて笑ってしまった。

 ジョークは以下のとおり:国によってワクチン接種を促すための効果的なコツがあるが、フランス人に効く方法がみつからない。そこで、フランス人に各国のやり方を試してみた。イギリス人には「紳士は皆、ワクチンを打っています」が有効だが、これをフランス人に言ったところ「そんなの関係ない」との答え。ドイツ人には「打ちなさい」が効くが、これも勿論答えは「ノー」。今度は米国人には通用する「隣の人は打っています」を試すが、「他人がどうしたって関係ない」と返答。仕方ないので「あなたは何人ですか?」と聞いたところ、「フランス人だ」と言う。「それなら、あなたはその権利がありません」と答えたところ、フランス人はワクチンを接種した。…というオチだった。